京都のごみ屋敷や横浜の違法屋台…撤去費用は誰が負担?

景観を損なう空き家や往来を妨げる障害物が近所にあれば、何とか撤去してほしい――誰しもそう思うでしょう。所有者に代わって、行政機関が行うのが「行政代執行(代執行)」です。代執行…最近よくニュースになっています。

ごみ屋敷、空き家、屋台…最近増えてきた?

 最近の主なものを挙げると、京都市は昨年11月、ごみ屋敷条例に基づき、ごみ撤去の代執行を行いました。京都市は7月から居住男性に行政指導を行いましたが改善されず、同条例に基づく全国初の代執行を行いました。

また、和歌山県は3月2日、景観に関する条例に基づいて空き家撤去を、横浜市は3月3日、JR横浜駅西口近くの路上で60年以上にわたり道路使用許可を取らずに営業を続けていたおでん屋台撤去を代執行しました。葛飾区では3月3日、昨年5月に施行された空家対策特別措置法に基づき、空き家を撤去しました。

著しく公益に反することが要件

 代執行は、行政機関が義務を果たさない人に代わって撤去・排除などを行う強制的な行動を指します。憲法第13条では、基本的人権の尊重を謳っていますが、「公共の福祉に反しない限り」と制限しています。

行政代執行法でも、代執行の要件として、(1)義務者が義務を履行しない、(2)他の手段で義務の履行を確保することが困難、(3)不履行を放置することが著しく公益に反する、の3点を挙げています。

所有者から費用を徴収、不明の場合は行政負担も

 代執行を行う前には撤去命令や戒告を行います。これは行政代執行法に基づく行政処分であり、公権力を持った行為です。行政処分に不服があれば、異議申し立てができます。代執行そのものは事実行為なので、差し止め訴訟を行う場合には、前段の行政処分の取り消しを求める訴えになります。

また、代執行に要した費用は所有者負担なので、所有者が応じなければ強制徴収されます。しかし、所有者に財産がなかったり、所有者不明だったりした場合は最終的に行政負担となります。

株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー 3月7日(月)

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“孤独よさらば”シニア街コンに手応え 

高齢者の「孤独」が社会問題となっている。少子化に伴う核家族化が進み、1人暮らしのお年寄りが急増。「きょう、誰とも話をしていない」が日常となっているケースも。こうした状況を受け、山形市内の繁華街「花小路」で60代以上を対象に「出会いの場」を提供する取り組みが注目を集めている。形式は出会いを求める若者の定番となっている「街コン」。主催者は「大事なのはきっかけ。反応は上々」と手応えを感じている。

狭い通りに居酒屋やバーがひしめく花小路の一画にある居酒屋「たから湯」=同市七日町4丁目=が「シニア街コン」の会場だ。店主の藤原隆さん(69)は「STOP独りぼっち」をテーマに掲げて5年前に企画した。背景には自身が経験した寂しさがあるという。

藤原さんは35歳で離婚し、現在までずっと独身。仕事がうまくいかなかった時など、ふと寂しさが込み上げた。店を開く前に働いていた職場の同僚とも退職を機に交流が途絶え「あんなに仲が良かったのに…」。環境が変われば人付き合いはがらりと変わることを痛感した。

「年を取り、気付いたら回りに誰もいなかった。そうならないようにしてほしい」。少子高齢化と核家族化が進み、1人で寂しく暮らす高齢者が増加している。近所付き合いも薄れ、昔と比べて人間関係も希薄になりつつある。孤独に陥るお年寄りが後を絶たない。

高齢になってから人付き合いがなくなることは「孤独死」につながるリスクを高める。「若者が独りでいるのも心配だが、お年寄りはもっと心配」。藤原さんは高齢者の孤独を深刻に捉えている。

たから湯では毎月1回、60代と70代以上を対象にした街コンがそれぞれ開かれている。50代向けに婚活を目的とした飲み会もある。全て食事付きで、飲み放題。カラオケを楽しむこともできる。「参加者も多く、みんな若者に負けないほど活発」と藤原さんは反響に驚く。

先月末、主に60歳以上の男女を対象に開催した街コンに本紙記者が同席した。この日は山形市内外から男女計8人が参加。友人と参加した50代女性は「最近は家族間のコミュニケーションが減り、寂しい。誰かと話せるこの会は大切な場所だ」と話す。60代男性は「初めて会う人たちだが、会話をすると元気になれた」と笑顔を見せた。

年齢を重ねるほど孤独に対する耐性は衰えると参加者は口をそろえた。「1人でも多くの友達を作ってもらいたい」。ふれあい、会話の楽しさを満喫している参加者の様子を見ながら藤原さんがつぶやいた。

山形新聞社  3月14日(月)

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孤独死

 

ごみ屋敷のごみを強制撤去へ 対策条例、神戸市が6月議会に上程

神戸市の久元喜造市長は9日の定例記者会見で、住宅の敷地内に大量のごみをため込む「ごみ屋敷」で、ごみの強制撤去をできるようにする条例案を6月議会に提案する方針を明らかにした。指導を繰り返しても解消しない場合、住人の氏名公表や過料徴収も検討。10月の施行を目指す。制定されれば、政令市では京都、大阪市に次いで3例目。

神戸市によると、昨年7月の調査では市内には、ごみ屋敷が計116軒ある。悪臭や害虫が発生し、周囲に悪影響を及ぼしているが、現行法では敷地内のごみに対応する根拠がなく、住人が「ごみではない」と主張すると行政指導や強制撤去できないという。

市は昨年6月、ごみ屋敷対策検討会議を設置し、協議を重ねてきた。条例案では、ごみ屋敷の予防と解消を義務づけ、繰り返し指導しても解消しない場合、行政指導を行うことを明記。勧告や命令、氏名公表、過料徴収をできるようにし、最終的には行政代執行による強制撤去に踏み込める内容にする。

久元市長は「(ごみ屋敷の住人は)コミュニケーションをとることが難しい人が多いかもしれない。福祉、医療的な課題を抱える人への支援も同時に検討したい」と話した。

産経新聞 3月10日

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病死した夫を居間に放置したまま1年間も同じ屋根の下で暮らし続けた妻と子供たち その驚きの理由とは…

栃木県真岡市の住宅で1月、一部が白骨化、ミイラ化した男性の遺体が見つかった。栃木県警は死体遺棄容疑で、1年近く遺体と一緒に暮らしていた男性の妻で看護助手、村山スミ容疑者(58)と子供2人を逮捕した。同じ屋根の下に暮らしながら、なぜ、夫であり父親である男性の遺体を長い間放置したのか-。
■親族に「去年死んだ」

事件が発覚したのは1月10日。死亡した村山進さん=当時(60)=の自宅を、進さんの兄とおいが訪れたのがきっかけだった。兄らは平成26年12月以降、進さんに会っていなかった。尋ねてもスミ被告は曖昧な返答を繰り返すばかりだったという。

午前11時半ごろ、2人は「進さんに1年以上会っていない」とスミ被告を問い詰めたところ、スミ被告はとつとつと「夫は昨年死亡した」と話し始めた。兄らの届け出を受けて、県警真岡署員が同日、居間から進さんの遺体を発見。スミ被告らから事情を聴いた上で、11日に同居の長女(30)と長男(27)の3人を逮捕した。

スミ被告と長男は容疑を認め、長女は「入院していると思っていた」と容疑を否認した。宇都宮地検は1月29日、死体遺棄の罪で村山被告を起訴。長女と長男は不起訴処分とした。地検は処分理由を明らかにしていない。

起訴状によると、スミ被告は、進さん=当時(60)=が死亡していることに気付いたが、昨年5月ごろ~今年1月10日、遺体を放置、遺棄したとしている。

家族は4人暮らし。近くに住む無職男性(63)も進さんについて、「おとなしい性格。家族でのもめごととかは聞いたことがない。金遣いが荒いとか借金があるとかいう話も聞いたことがない」。自営業の男性(64)は「家のもめ事を聞いたこともない」と首をかしげる。

県警によると、遺体は布団が顔の上まで掛けられていた。

スミ被告は「昨年1月ごろ、(進さんが)弱っているようだった。春ごろから異臭がするようになった」と供述。病気で衰弱した進さんを居間に放置し、その後は、居間や隣の台所は使わず、浴室脱衣場を台所代わりに使っていたと供述している。

放置した動機については、「夫に10年以上、家庭内暴力を受けた」と話したスミ被告は「夫が嫌いだった」と説明したという。家庭内暴力について、子供2人の供述とも矛盾はないという。

進さんは年金を受給する年齢には達しておらず、死亡を隠して年金や生活保護を不正受給するのが目的ではなかったと捜査関係者は見ている。家族3人は働いており、「収入もそれなりにある」(捜査関係者)という。

捜査関係者によると、スミ被告は「全て私の責任」、長男は「気付いたときに相談し、葬式を上げればよかった。罪悪感でいっぱい」と反省の態度を示したというが、なぜ、一つ屋根の下で父の遺体と暮らし続けたのか。

捜査関係者は「一緒に食事をするとか、仲の良い普通の家族ではなかったようだ」と話す。弱った進さんは妻や子供からも顧みられず、家庭内別居の状態から、正確な死亡時期も分からぬ家庭内孤独死へと至った。不可解な家族のカタチは、いまも謎のままだ。

産経新聞 2月9日(火)

 

ごみ屋敷対策を条例化へ 「まちの景観守る」八潮市、県内初

八潮市は、空き家に加えて居住中の「ごみ屋敷」についても所有者に問題解消を勧告・命令できるほか、行政代執行による強制撤去を可能にする「同市まちの景観と空家等対策計画」を策定した。市は計画に基づく条例案を市議会6月定例会に提出する予定で、10日から条例の骨子案について意見公募(パブリックコメント)を開始。可決されれば県内自治体で初めてのごみ屋敷対策条例となる。

同市の空き家数は平成25年時点で3210戸あり、20年と比べて660戸(25・9%)増加。全体の8・7%で、県内で調査された54市町のうち46番目と低水準にとどまるが、今後、急速な老朽化や空き家化が見込まれている。そのため、27年度に学識経験者や市民などで構成する協議会を設置し検討を重ねてきた。

計画では、放置すれば倒壊や悪臭など地域住民の生活に支障を及ぼす恐れがある管理不全状態の空き家を「特定空家」とし、同様の状態にあるごみ屋敷などの居住物件を「特定居住物件」と定義。居住実態が確認できず、所有者が「物置として使用している」などと主張する場合も特定居住物件に含めるという。

対象建築物について町会や自治会、民生委員らから情報を収集。一級建築士による現地調査や立ち入り調査を経て、設置を予定している審議会が判定する。

特定空家については、27年5月に施行された空き家対策の特別措置法が自治体による所有者への勧告・命令、従わない場合の行政代執行を認めている。市の計画では、通学路に雨戸や瓦が落ちそうになっている場合などは、特定空家の認定前でも即時撤去などの「緊急安全措置」を取れるようにする。

特定居住物件は特措法の対象外となっているため、条例化で空き家と同レベルの対策を可能にする。特にごみ屋敷では、居住者の生活困窮や支援の拒絶、孤立が背景にあるケースも多く、保健センターの紹介など福祉的な支援も条例に盛り込む方針という。

市内のごみ屋敷は27年調査で3件だったが、市都市デザイン課は「まちの景観を守るという観点から総合的に判断し、空き家のほかにごみ屋敷も対象とした。制度整備をしておけば迅速な対応が可能になる」としている。

産経新聞 2月9日(火)

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