ごみ屋敷に“法の網” 条例制定へ 氏名公表、代執行も

敷地などにごみをため込む「ごみ屋敷」に対処するための条例を神戸市が制定する。久元喜造市長が9日に記者会見し発表した。ごみの撤去などを住民に勧告、命令でき、氏名公表や過料の罰則や、市が強制的に撤去する「代執行」も行える。久元市長は「既存の法令では対応できない問題。条例だけでなく、福祉的な対応も必要だ」と話している。6月に条例案を議会に提出し、10月施行を目指す。

  市は、近隣住民の相談などを基に116カ所のごみ屋敷を把握している。このうち西区の民家では、近隣住民宅にごみを置いたとして女性(74)が2月29日に神戸西署から廃棄物処理法違反容疑で逮捕された。この民家は地域で問題化しており、市も道にはみ出たごみを複数回撤去し、口頭での指導も続けてきたという。

 ごみ屋敷を巡っては、「廃棄物ではない」と主張する住民もおり、敷地内のごみの撤去を求めるのが難しいケースもある。条例は、廃棄物などがたまり、悪臭や害虫が発生している建物をごみ屋敷に定め、改善を義務づける。行政指導や助言・指導、勧告、命令などの措置を行う。従わない場合は氏名公表や過料、代執行もできる。 ごみ屋敷の住民が地域で孤立したり、精神疾患にかかっていることも考えられるため、措置を行う際は弁護士や福祉の専門家らでつくる第三者委員会で判断する。また、社会福祉協議会とも連携して対応するという。

 

毎日新聞 3月10日(木)

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異変時は迅速対応、孤独死防止目指す 平塚田村団地、県公社と市が協定

お年寄りの孤独死防止に向け、神奈川県住宅供給公社と平塚市が新たな協定を結んだ。住民の3人に1人が65歳以上の平塚田村団地(同市田村2丁目)で、入居者らが異変に気付いた際の対応窓口を一本化し、迅速な初動体制を構築するのが狙い。県内では座間、小田原市に続く3例目で、関係者は超高齢社会を見据えた見守り活動の一環として民間マンションなどへの広がりに期待を寄せている。

1974年に入居が始まった田村団地は4~5階建てが16棟(全532戸)あり、住民は約千人。このうち65歳以上が占める割合(高齢化率)は36・9%で、平塚市全体の25・4%を大きく上回っている。

これまでに孤独死が発覚したケースは表面化していないが、異常を察知しても施錠されていて入室できない1人暮らしのケースなどへの備えとして、団地管理者の同公社と連携して防止策を講じることにした。

協定は、部屋のポストに新聞や郵便物がたまっていたり、室内から異臭がしたりといった異常を感じた場合に住民らが公社に連絡。通報を受けた公社は対象者の家族らから入室許可を得るとともに、警察や消防の立ち会いの下で玄関を解錠して立ち入り、速やかに安否確認できるようにする内容。公社への通報は、お年寄りの相談窓口を担う地域包括支援センターの職員をはじめ、民生委員や近隣住民らが、高齢者の見守り活動をする中で対応する。

22日に協定を結んだ市は、緊急時の連絡先がきちんと決められ、施錠時もドアを壊すトラブルが避けられるなどのメリットを強調し、「見守り活動をする担当者たちの心の負担も減る」と評価。今後は「県営住宅などにも協定締結を呼び掛け、民間マンションのオーナーや管理会社にもこの仕組みを広げられれば」と、全市的な見守り態勢の強化につなげたい意向を示している。

神奈川新聞 3月27日(日)

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男性孤独死、養女が提訴 都城市に損害賠償請求

都城市のアパート一室で孤独死した生活保護受給者の男性=当時(49)=の養女が、同市と同市職員を相手取り、慰謝料などとして約2200万円の損害賠償を求める訴訟を宮崎地裁都城支部に起こしたことが16日、分かった。養女は「(要請を受けた)市がすぐに安否確認に行っていれば父は死なずにすんだ」と主張している。提訴は8日付。

宮崎日日新聞 3月17日(木)

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郡山市が強制撤去 全国2例目

自宅敷地に大量のごみをため込み迷惑をかける「ごみ屋敷」問題で、福島県郡山市は26日、70代男性が管理する民家4軒で、行政代執行によるごみの強制撤去に踏み切った。条例に基づく行政代執行は京都市に次いで全国2例目。

行政代執行の開始を宣言した後、市職員ら70人が、敷地内や通路にため込まれた廃家電などを約4時間かけて撤去した。パッカー車とダンプカー計15台で撤去したごみの総量は約24.3トン。作業費用200万~300万円を男性に請求する。

 現場の1カ所、同市菜根に住む男性は「とにかく火事が心配だったので、片付けられてほっとしている」と胸をなで下ろした。市生活環境部の吉田正美部長は「再度このような状態にならないために、市が継続的に指導して住民の不安解消につなげたい」と話した。

 市は昨年12月、ごみ屋敷の対策条例を施行。男性に指導勧告してきたが改善されず、2月1日に撤去を命令した。今月3日、行政代執行に向けた最後通告「戒告書」を出していた。

河北新聞 3月27日(日)

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京都のごみ屋敷や横浜の違法屋台…撤去費用は誰が負担?

景観を損なう空き家や往来を妨げる障害物が近所にあれば、何とか撤去してほしい――誰しもそう思うでしょう。所有者に代わって、行政機関が行うのが「行政代執行(代執行)」です。代執行…最近よくニュースになっています。

ごみ屋敷、空き家、屋台…最近増えてきた?

 最近の主なものを挙げると、京都市は昨年11月、ごみ屋敷条例に基づき、ごみ撤去の代執行を行いました。京都市は7月から居住男性に行政指導を行いましたが改善されず、同条例に基づく全国初の代執行を行いました。

また、和歌山県は3月2日、景観に関する条例に基づいて空き家撤去を、横浜市は3月3日、JR横浜駅西口近くの路上で60年以上にわたり道路使用許可を取らずに営業を続けていたおでん屋台撤去を代執行しました。葛飾区では3月3日、昨年5月に施行された空家対策特別措置法に基づき、空き家を撤去しました。

著しく公益に反することが要件

 代執行は、行政機関が義務を果たさない人に代わって撤去・排除などを行う強制的な行動を指します。憲法第13条では、基本的人権の尊重を謳っていますが、「公共の福祉に反しない限り」と制限しています。

行政代執行法でも、代執行の要件として、(1)義務者が義務を履行しない、(2)他の手段で義務の履行を確保することが困難、(3)不履行を放置することが著しく公益に反する、の3点を挙げています。

所有者から費用を徴収、不明の場合は行政負担も

 代執行を行う前には撤去命令や戒告を行います。これは行政代執行法に基づく行政処分であり、公権力を持った行為です。行政処分に不服があれば、異議申し立てができます。代執行そのものは事実行為なので、差し止め訴訟を行う場合には、前段の行政処分の取り消しを求める訴えになります。

また、代執行に要した費用は所有者負担なので、所有者が応じなければ強制徴収されます。しかし、所有者に財産がなかったり、所有者不明だったりした場合は最終的に行政負担となります。

株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー 3月7日(月)

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