お年寄りの孤独死防止に向け、神奈川県住宅供給公社と平塚市が新たな協定を結んだ。住民の3人に1人が65歳以上の平塚田村団地(同市田村2丁目)で、入居者らが異変に気付いた際の対応窓口を一本化し、迅速な初動体制を構築するのが狙い。県内では座間、小田原市に続く3例目で、関係者は超高齢社会を見据えた見守り活動の一環として民間マンションなどへの広がりに期待を寄せている。
1974年に入居が始まった田村団地は4~5階建てが16棟(全532戸)あり、住民は約千人。このうち65歳以上が占める割合(高齢化率)は36・9%で、平塚市全体の25・4%を大きく上回っている。
これまでに孤独死が発覚したケースは表面化していないが、異常を察知しても施錠されていて入室できない1人暮らしのケースなどへの備えとして、団地管理者の同公社と連携して防止策を講じることにした。
協定は、部屋のポストに新聞や郵便物がたまっていたり、室内から異臭がしたりといった異常を感じた場合に住民らが公社に連絡。通報を受けた公社は対象者の家族らから入室許可を得るとともに、警察や消防の立ち会いの下で玄関を解錠して立ち入り、速やかに安否確認できるようにする内容。公社への通報は、お年寄りの相談窓口を担う地域包括支援センターの職員をはじめ、民生委員や近隣住民らが、高齢者の見守り活動をする中で対応する。
22日に協定を結んだ市は、緊急時の連絡先がきちんと決められ、施錠時もドアを壊すトラブルが避けられるなどのメリットを強調し、「見守り活動をする担当者たちの心の負担も減る」と評価。今後は「県営住宅などにも協定締結を呼び掛け、民間マンションのオーナーや管理会社にもこの仕組みを広げられれば」と、全市的な見守り態勢の強化につなげたい意向を示している。
神奈川新聞 3月27日(日)
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