自宅で死を迎える人が死亡者全体のうちどの程度を占めているかについて、厚生労働省が2014年の人口動態調査を基に初の市区町村別統計をまとめ、6日公表した。人口5万人以上の自治体では在宅死の割合が5.5~25.6%と、最大4.65倍の差があった。地域の病床数や在宅医療の受けやすさ、孤独死の発生数などが関係しているとみられる。
日本では1970年代に病院や診療所で死を迎える割合が自宅を上回り、14年は病院死が75.2%なのに対し、グループホームやサービス付き高齢者住宅を含む在宅死は12.8%にとどまる。一方、内閣府の12年度調査では、55%の人が「最期を自宅で迎えたい」と望んでおり、厚労省は「自宅でのみとり」の推進を図っている。
人口5万人以上20万人未満の自治体で在宅死率が最も高いのは、兵庫県豊岡市(25.6%)、東京都中央区(21.5%)の順。20万人以上の都市では神奈川県横須賀市(22.9%)、東京都葛飾区(21.7%)と続いた。5万人以上で高かった10自治体では、1市を除いて「在宅療養支援診療所」が15カ所以上あり、訪問診療や訪問看護の体制が充実していた。政令市では神戸市の18.1%が最高だった。
医療問題に詳しい宮武剛・日本リハビリテーション振興会理事長は「都市部では病院で終末期の患者を引き受ける余力がなく、在宅医療の充実が在宅死の割合に関わる。これに加え、東京23区に限れば孤独死が数を押し上げ、在宅死の約35%を占めている」と指摘。病院の再編で25年までには地域で療養する高齢者が今より約30万人増えるとして「介護と接点のある市町村単位で、在宅でどこまでみとれるか検討する必要がある」と話す。
データは、厚労省のウェブサイト内の「在宅医療の推進について」のページに掲載されている。
毎日新聞 7月6日(水)