宮城県は今年度から東日本大震災被災者の「孤独死」の統計上の定義を見直した。県の統計でこれまで「0人」だったが、県警が3月末時点でまとめた仮設住宅での孤独死の数に基づき、87人に変更した。
震災孤独死について、県はこれまで仮設住宅に住む65歳以上の高齢者のうち、「1人暮らしで地域から孤立し、意思や状況が周囲から理解されないまま結果として死に至った状態」としていた。県警は年齢などを問わず、「仮設住宅の1人暮らしで死亡した人」とし、昨年末時点で84人と集計。村井嘉浩知事が今年2月「県の主張と県民の捉え方に大きな隔たりがあってはいけない」として見直しを表明していた。
毎日新聞 4月13日(水)
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景観を損なう空き家や往来を妨げる障害物が近所にあれば、何とか撤去してほしい――誰しもそう思うでしょう。所有者に代わって、行政機関が行うのが「行政代執行(代執行)」です。代執行…最近よくニュースになっています。
最近の主なものを挙げると、京都市は昨年11月、ごみ屋敷条例に基づき、ごみ撤去の代執行を行いました。京都市は7月から居住男性に行政指導を行いましたが改善されず、同条例に基づく全国初の代執行を行いました。
また、和歌山県は3月2日、景観に関する条例に基づいて空き家撤去を、横浜市は3月3日、JR横浜駅西口近くの路上で60年以上にわたり道路使用許可を取らずに営業を続けていたおでん屋台撤去を代執行しました。葛飾区では3月3日、昨年5月に施行された空家対策特別措置法に基づき、空き家を撤去しました。
代執行は、行政機関が義務を果たさない人に代わって撤去・排除などを行う強制的な行動を指します。憲法第13条では、基本的人権の尊重を謳っていますが、「公共の福祉に反しない限り」と制限しています。
行政代執行法でも、代執行の要件として、(1)義務者が義務を履行しない、(2)他の手段で義務の履行を確保することが困難、(3)不履行を放置することが著しく公益に反する、の3点を挙げています。
代執行を行う前には撤去命令や戒告を行います。これは行政代執行法に基づく行政処分であり、公権力を持った行為です。行政処分に不服があれば、異議申し立てができます。代執行そのものは事実行為なので、差し止め訴訟を行う場合には、前段の行政処分の取り消しを求める訴えになります。
また、代執行に要した費用は所有者負担なので、所有者が応じなければ強制徴収されます。しかし、所有者に財産がなかったり、所有者不明だったりした場合は最終的に行政負担となります。
株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー 3月7日(月)
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栃木県真岡市の住宅で1月、一部が白骨化、ミイラ化した男性の遺体が見つかった。栃木県警は死体遺棄容疑で、1年近く遺体と一緒に暮らしていた男性の妻で看護助手、村山スミ容疑者(58)と子供2人を逮捕した。同じ屋根の下に暮らしながら、なぜ、夫であり父親である男性の遺体を長い間放置したのか-。
■親族に「去年死んだ」
事件が発覚したのは1月10日。死亡した村山進さん=当時(60)=の自宅を、進さんの兄とおいが訪れたのがきっかけだった。兄らは平成26年12月以降、進さんに会っていなかった。尋ねてもスミ被告は曖昧な返答を繰り返すばかりだったという。
午前11時半ごろ、2人は「進さんに1年以上会っていない」とスミ被告を問い詰めたところ、スミ被告はとつとつと「夫は昨年死亡した」と話し始めた。兄らの届け出を受けて、県警真岡署員が同日、居間から進さんの遺体を発見。スミ被告らから事情を聴いた上で、11日に同居の長女(30)と長男(27)の3人を逮捕した。
スミ被告と長男は容疑を認め、長女は「入院していると思っていた」と容疑を否認した。宇都宮地検は1月29日、死体遺棄の罪で村山被告を起訴。長女と長男は不起訴処分とした。地検は処分理由を明らかにしていない。
起訴状によると、スミ被告は、進さん=当時(60)=が死亡していることに気付いたが、昨年5月ごろ~今年1月10日、遺体を放置、遺棄したとしている。
家族は4人暮らし。近くに住む無職男性(63)も進さんについて、「おとなしい性格。家族でのもめごととかは聞いたことがない。金遣いが荒いとか借金があるとかいう話も聞いたことがない」。自営業の男性(64)は「家のもめ事を聞いたこともない」と首をかしげる。
県警によると、遺体は布団が顔の上まで掛けられていた。
スミ被告は「昨年1月ごろ、(進さんが)弱っているようだった。春ごろから異臭がするようになった」と供述。病気で衰弱した進さんを居間に放置し、その後は、居間や隣の台所は使わず、浴室脱衣場を台所代わりに使っていたと供述している。
放置した動機については、「夫に10年以上、家庭内暴力を受けた」と話したスミ被告は「夫が嫌いだった」と説明したという。家庭内暴力について、子供2人の供述とも矛盾はないという。
進さんは年金を受給する年齢には達しておらず、死亡を隠して年金や生活保護を不正受給するのが目的ではなかったと捜査関係者は見ている。家族3人は働いており、「収入もそれなりにある」(捜査関係者)という。
捜査関係者によると、スミ被告は「全て私の責任」、長男は「気付いたときに相談し、葬式を上げればよかった。罪悪感でいっぱい」と反省の態度を示したというが、なぜ、一つ屋根の下で父の遺体と暮らし続けたのか。
捜査関係者は「一緒に食事をするとか、仲の良い普通の家族ではなかったようだ」と話す。弱った進さんは妻や子供からも顧みられず、家庭内別居の状態から、正確な死亡時期も分からぬ家庭内孤独死へと至った。不可解な家族のカタチは、いまも謎のままだ。
産経新聞 2月9日(火)